「消費税10%を計算してもらったら、なぜか1.1をかけていた」
「前年比120%の意味が理解できていないようだ」
新入社員の指導をしていて、このような場面に遭遇したことはありませんか?
実は、割合の計算が苦手な新入社員は決して少なくありません。(新入社員だけでなく、中堅社員の方もです!)
そして、これは本人の努力不足や能力の問題ではないのです。
今回は、なぜ新入社員が割合でつまずくのか、そして企業としてどのようなサポートができるのかを考えていきます。
なぜ「割合」が難しいのか?
1. 目に見えないものだから
「3個のりんご」「50万円の売上」は具体的でイメージしやすいですね。
でも「割合」は目に見えません。「120%」と言われても、頭の中でパッとイメージするのは難しいものです。これは、数学が得意な人でも最初は苦労するポイントです。
2. 学校では「公式の丸暗記」だった
多くの人は、学校で「この問題にはこの公式を使う」と習ってきました。
- 「比べられる量÷もとにする量」
- 「割合×もとにする量」
でも、「なぜその公式を使うのか」「何を求めようとしているのか」という本質的な理解がないまま、テストを乗り切ってきた人も多いのです。
3. 実生活で使う機会が少なかった
学生時代、割合を使う場面はほとんどありません。
買い物での割引計算くらいでしょうか。でも「30%オフ」の服を見ても、「0.3をかけて…」とは考えず、値札を見ればいいだけですよね。
つまり、社会人になって初めて、本格的に「割合」と向き合うことになるのです。
ビジネスで「割合」ができないと、どうなる?
日常業務でのつまずき
- 売上目標の理解: 「前年比110%を目指そう」と言われても、具体的にいくら売ればいいのか分からない
- 値引き計算: お客様に「20%引きで」と言われて、計算ミスをしてしまう
- 報告書の作成: 「構成比」「達成率」などの数字を出すよう頼まれて、手が止まる
- 会議での理解: 上司が「粗利率が前期より3ポイント下がった」と話していても、それが良いことなのか悪いことなのか、どのくらい深刻なのか分からない
本人も困っている
「分からないことを質問したら、呆れられるかもしれない」 「今さら聞けない…」
このように感じて、分からないまま仕事を進めてしまうケースも少なくありません。結果として、ミスが起きたり、業務効率が下がったり、退職につながったりしてしまいます。
上司や先輩ができる、日々のサポート
1. 具体的な数字で説明する
「割合」という抽象的な言葉ではなく、具体的な数字で説明してあげましょう。
× あまり伝わらない説明 「今月は前年比120%だから、好調だね」
○ 伝わりやすい説明 「去年の今月は100万円の売上だったんだけど、今月は120万円。つまり20万円増えたから、好調だね」
数字を「割合」ではなく「差」で示すと、イメージしやすくなります。
2. 図や表を使って視覚化する
可能であれば、グラフや図を使って説明しましょう。
たとえば、前年比120%なら、棒グラフで「去年」と「今年」を並べて見せるだけで、ずっと理解しやすくなります。
3. 「これは割合の問題だよ」と教える
新入社員自身が「これは割合を使う場面なんだ」と気づいていないこともあります。
「これは割合を使って考えると分かりやすいよ」と、さりげなく伝えてあげるだけでも、気づきのきっかけになります。
4. 質問しやすい雰囲気を作る
「こんなこと聞いていいのかな…」と遠慮させないことが大切です。
「最初は誰でも分からないから、気軽に聞いてね」と伝えておくと、質問のハードルが下がります。
でも、毎回教えるのは大変ですよね🥲
日常業務の中で教えるのも大切ですが、正直なところ、
- 毎回同じことを説明するのは時間がかかる
- 教える側も忙しい
- 教え方が人によって違うと、混乱する
- 複数の新入社員がいると、個別対応が難しい
こういった課題もあるかと思います。
そこで、体系的な研修を取り入れることをおすすめします。
研修で「割合」を学び直す
なぜ研修が効果的なのか?
1. 基礎から順を追って学べる 割合の本質的な考え方から、ビジネスでの応用まで、段階的に学べます。
2. 大量の練習問題で定着する 「分かった」だけでは使えません。何度も繰り返し解くことで、体に染み込みます。
3. 全員が同じ知識レベルになる 研修を受けることで、チーム全体の知識が揃います。説明する側も楽になります。
4. 質問しやすい 職場では聞きづらいことも、研修なら気軽に質問できます。
どんなことを学ぶのか?
STEP1: 割合の基本的な考え方
- 割合とは何か?
- パーセント、歩合、倍率の関係
- 「もとにする量」と「比べる量」の見分け方
STEP2: 日常的な計算練習
- 消費税の計算
- 値引き・割増の計算
- 比率の計算
STEP3: ビジネスで使う指標
- 前年比、構成比
- 達成率、増減率
- 原価率、利益率
STEP4: グラフや表の読み取り
- データから割合を読み取る
- 比較・分析の基礎
これらを、解説と練習問題を繰り返しながら、約10時間で学びます。
Eラーニングなら、無理なく学べる
「研修を受けさせたいけど、時間が取れない…」
そんな場合は、Eラーニングが便利です。
Eラーニングのメリット
通勤時間や休憩時間を活用できる まとまった時間を確保しなくても、スキマ時間で少しずつ進められます。
自分のペースで学べる 理解に時間がかかる部分は、何度でも見直せます。逆に、分かっている部分はサクサク進められます。
スマホでも学習できる パソコンがなくても大丈夫。通勤中でも学習できます。
進捗管理ができる 人事担当者が、誰がどこまで進んでいるか確認できます。遅れている人には声をかけることもできます。
実際の導入事例
ある食品企業では、数年前から新入社員20名に対して、このようなEラーニング研修を実施しています。
導入の背景 新入社員の数字に対する弱さが課題になっていました。業務を教える際、割合や比率の説明に毎回時間がかかり、非効率だったのです。
導入後の変化 入社日までに修了テストに合格することを目標に設定。進捗状況を確認しながら、遅れている社員には個別に連絡をして、全員が確実に修了できるようサポートしています。
「数字への苦手意識がなくなった」 「業務での説明が、以前よりスムーズに理解できるようになった」
このような声が、新入社員から上がっているそうです。
研修は「内定者期間」に受けてもらうのもおすすめ
新入社員研修として実施するのもいいですが、内定者期間に受けてもらうのも効果的です。
内定者期間に学ぶメリット
1. 入社後すぐに業務に集中できる 基礎的な数学は内定者期間に終わらせておくことで、入社後は業務内容の習得に集中できます。
2. 内定者の不安を解消できる 「数字が苦手だけど、ついていけるかな…」と不安を抱えている内定者は多いものです。入社前にサポートすることで、安心して入社日を迎えられます。
3. スムーズに業務理解ができる 入社後の説明で「前年比」「構成比」などの言葉が出てきても、すぐに理解できます。
新入社員を責めるのではなく、サポートしよう
新入社員が「割合の計算ができない」のは、本人のせいではありません。
これまでの教育の中で、じっくり学ぶ機会がなかっただけです。
企業が適切な研修を提供すれば、誰でも必ず身につけられるスキルです。
「教えるのが大変」「何度も同じことを聞かれる」と感じているなら、それは研修でサポートできるサインかもしれません。
新入社員の数字力を底上げして、業務をもっとスムーズに進められるようにしませんか?

2003年からパソコン指導、2011年から大人向け算数・数学教室「大人塾」を運営。これまで1万人以上にカリキュラムを提供し、企業向けEラーニングも展開。
「学習者中心主義」をモットーに、解説→問題の個別学習で「取り残されない学び」を提供。できない人もできる人も自分のペースで学習できる環境づくりに取り組んでいる。
主な著書
- 『コレ解ける? 数字がこわくなくなる おとな算数ゆるトレ』(インプレス・2025年)
- 『史上最強のNMAT・JMATよくでる問題集』(ナツメ社・2017年)
Web担当者Forumでの連載「数字が苦手なWebマーケター向け算数基礎講座」は累計300万PV突破。

