見積金額を7%引きに変更、と指示したら、70%の金額になった書類が返ってきたんです。

同じようなことが続くので「10時間でわかる」中学数学のやり直し本を渡したんですが、「数学苦手なんで」といって読む気配もない…。

ちょこちょこ発生する数字のミスや見落としに、耐え続けるしかないのでしょうか?

お答えします

まずは、見落としがちで大事なことから。実は「割合」をちゃんと理解することって、数学が苦手な方にとっては、ものすごく難しいことなんです。そもそも算数や数学の学習は、進むほどに難しくて抽象的な内容が増えますよね? そんななかでも割合は、最初に登場する抽象的な概念となっています。

大人塾の受講生Wさんは「割合」と耳にするだけで、緊張してしまっていたそうです。小学校で覚えた「くもわ」の公式(比べられる量、もとになる量、割合)の、どこに数字をあてはめれば正しくなるか分からず、パニックになりがちだったとおしゃってます。

他にも、割合の計算で「1とおく」という表現に出くわすと、いつ、なにを「1とおく」のかと悩んでしまうというお話もあります。もとになる量が1(100%)という理解が定着していないことから起きる悲しい出来事です。割合を理解している方にすれば「いつ1とおく?」という疑問がそもそも謎ですが、いただく質問としては決して珍しくありません。

さて、数学の苦手な方にとって割合が、簡単に理解や計算できるものではない、という例を紹介させていただきました。そしてこれは、なにも若い方に限った話ではなく、40代、50代の方でも、苦手意識を持っている方は多くいらっしゃいます。お気づきになる機会はないかもしれませんが、世代を問わずに存在している問題なのです。

さらに、今回は「10時間でわかる」やり直し数学の本を渡されたとのことですが、残念ながら初手から失敗されています。相手の方が学ぶべき割合、そして前提となる分数はそれぞれ、中学校の学習内容ではなく、小学校で学ぶ範囲です。むしろこの本を無駄に読まなくてよかった、数学苦手の傷口を広げずに済んだ、とすら言えるかもしれないのです。

もうひとつ言及しておくと、苦手な方の学び直しが10時間で達成できるかというと、まず不可能でしょう。小学生の年間の算数の授業時間は、175時間(1年生を除く)。中学生1年生のそれは、140時間となっています。これだけの時間で築かれた苦手と苦痛が、10時間で取り返せるなら嬉しいですが、そうはいかないのが現実。計算せずとも想像できますね。

しかし、考えてみてください。これだけ長い学習時間を課せられながら、どこかの時点で苦手となってしまい、耐えてきた小学生や中学生は、どうしたらよかったのでしょうか? 7%引きを70%だと思って計算してしまっても、その人が悪いのではないかもしれません。

なにより現行の教育制度では、わからないまま進められてしまいます。高校に進学しても、理解している前提のなかで挫折を強いられるか、そもそも数学を必要としない進路を選んで数学の考えとは縁のない方へいくか、それぞれの進路に別れていきます。もちろん、克服できた方もいるでしょうが、目の前にいる苦手な方は、どこかでつまづいたままなのです。

少し話が広がってしまいました。ポイントとなるのは、学習の計画で前提となるのは、何をわかっていないかを知ること、その確認を怠らないことです。今回のケースで言えば、そもそも小学校の時点で学ぶべきことは、中学のやり直しの本には載っていません。

また、数学に苦手のない方は、苦手意識がある方のことを想像できないことがあります。これは仕方のないことかもしれません。ですが、多くの人が「あたりまえだろう」と感じることの背後には、難しい説明や理屈があるものです。このことを気に留めていただけると、解決の一歩に近づくのではないでしょうか。

これらと向き合うことで、今回であれば、中学の数学を学び直させようと判断する前に、相手が数学をどう理解しているのか、何を理解できていないのかを知り、その上で何をわかってほしいのかを整理すれば、学ぶべき内容を的確に提案できたでしょう。

ここまでの説明は、一見すると大袈裟なことに聞こえるかもしれません。また、解決までに多少の時間が必要になることも否定できません。ですが、やはり、このディスコミュニケーションを解消するための小さな一歩であることも確かなのです。

なお、割合が美味しいポイントがあるのも事実です。この範囲は、まず前提として押さえるべき内容はそこそこ少なく、かつ先の範囲で生かせるものが多いのです。なので、この範囲の理解が進むだけで、数学の苦手意識が大きく解消されるケースは少なくありません。

実際に、大人塾に通学する受講生には、本当に数学が苦手だったところから始めて、割合を含む基礎をきちんと理解された時点で「会議に出るのが楽になった」「今まで全然わからなかった数字のストレスが減った」とおっしゃってくださった方もいます

こうなれば、今後は自発的にわからない範囲を学ぶ可能性も大きくなってくるものです

お困りごとについて、あらためて考えていただくキッカケになりましたでしょうか。

相談者様のストレスを軽減するには、該当するスタッフの方に数字に強くなってもらうしかありませんので、少しでもお役に立てることがあれば幸いです。

人数、ご予算などご相談ください。

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