営業部に新入社員が複数名、配属されました。

そのうちの何人かは「数学が苦手だ」といって、「前年比」などの数字のある書類を見ようともしません。もちろん、意味を理解しようともしません。数字アレルギーの社員に、数字にもとづいてモノゴトを考えさせ、業務を遂行させるのはムリでしょうか?

仕事と数字は、切っても切れない関係ですよね。

数字に苦手意識があると言っても、業務では、数字と向き合う必要があります。とはいえ、理解もできない書類を押し付けられたら、仕事が嫌になってしまい、結果的に離職に繋がってしまうような例もあるようです。困ったものですね。

とある事例では、上司が数学のできない部下のために、毎週、業務にまつわる数字の小テストを作っていたケースがあります。しかし、上司の心、部下知らず。部下は、友人やパートナーに小テストを解いてもらっており、「こんなの毎回出されたって、わからないものはわからない」と開き直っていました。

実は、この「業務に関する数字の小テストを課す」というのが、悪手です。

上司は「業務に関する部分さえわかれば…」と考え、その数字にまつわる範囲だけを説明し、理解させようとしますが、そもそも数学は積み重ねの学問です。

学習の前提となる部分がきちんと理解できていなければ、いくらやっても砂上の楼閣、せっかく用意した小テストも水の泡、部下の数字嫌いは治らず、上司の胃痛は増すばかりです。

数字アレルギーとおっしゃる方の多くは、小学校のときに分数や割合でつまづき、そのあとは公式の丸暗記などで数学をどうにかクリアしてきたサバイバーです。この経験をそのままにして、業務で使うぶんだけの数学、数式を学ばせようとしても、数字への嫌な気持ちは増すばかり、理解することを拒絶する気持ちも強まる一方です。

そこで、時間が許すのであれば、とはなりますが、根本的な解決方法を紹介します。

まずは、業務で必要な数学がどのようなものか、分解するところから始めましょう。このとき、どのような前提があるのかを、ひとつひとつ書き上げていくと、それが明確になります。

たとえば、「前年比」を理解するには、「割合」の知識と計算能力が必要です。つきつめると、2つ年の数値から前年比を、あるいは前年比と片方の年の数値から残りの年の数値を導き出せることが望ましいです。こうすると、「割合を求める」(前年比)「もとになる数を求める」(当年の数値)「比べられる量を求める」(前年の数値)という内容があることがわかります。

さらに、これらをスムーズに計算するには、「方程式」の基本的な考え方を知っている必要があります。加えて「分数」の知識も必要です。それぞれに前提となる知識があるので、最終的には四則演算にたどり着いてしまいますが、こういった流れを無視しないようにすることが肝心です。

このように業務に必要な数字を分解し、それに沿って学習プログラムを作成することが理想です。これを課題分析図といいます。そして、そのうえで、数字アレルギーの部下が、どこまでは理解できているのかを確認し、その地点から学習を開始させるのが課題解決の第一歩となります。

しかし、例えば、分数に苦手意識がある方が、その再学習から始めると、数学嫌いがフラッシュバックして、うまい結果に繋がらない可能性もあります。もしかしたら、当時の算数、数学の先生に怒られた思い出など、よくない記憶が苦手の原因のひとつになっている可能性もあるからです。

ここでお薦めしたいのは、できる単元よりも2つほど前の単元から計画することです。私たち大人塾では、割合の学び直しを計画する場合、分数を使わない文章題や、集合の単元から案内することが多いです。まずは、できる範囲から成功体験を積ませ、数字嫌いを少しずつ和らげていきます。

このステップでうまく学習が進めば、苦手だった分野に到達するときには「どうしてこんなことがわからなかったんだろう」となり、さらには「仕事の数字を見るのがストレスではなくなってきた」という成果が見えてくるでしょう。

「数字アレルギーの社員に、数字にもとづいた業務を遂行させる」ことは、決してムリではありません。たしかに真正面から取り組むには、いくらかの時間と着実なステップが必要とはなりますが、決して無駄にはならない取り組みとはいえます。

相談者様のストレスを軽減するには、該当する新入社員の方に数字に強くなってもらうしかありませんので、少しでもお役に立てることがあれば幸いです。

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