非常にセンスのいい営業スタッフがいます。成績は素晴らしく、人あたりのよさから社内外の評判もあります。ですが、数字が苦手という弱点があり、本人もそれは認めています。それでも、克服しようとする姿勢が見られません。これが昇進のネックになっています。
本人も、昇進できないことに不満を抱き始めたようですが、もし上司となったとき、部下たちの計数管理は必要不可欠です。現状のような自分のセンスに頼る方法では、部下を率いるのは難しいでしょう。最近は目を合わせるのも憂うつになってきました。どうすればよいでしょうか。
ご相談ありがとうございます。
なるほど、その方は十分な実績を積み上げ、人柄も良好で、昇進に足る条件を概ね備えていらっしゃるということですね。ただ、計数管理の能力については不安があり、それが問題という状況でいらっしゃる。昇進させてあげたいという気持ちもよくわかりました。
実は、同様の相談をいただくことも少なくありません。
一般的に、十分に営業成績を残されている方である場合、現状で数字が苦手であり、計数管理が不得手でも、業務で成績が伸びない方に比べると、短い期間で数字力を伸ばせる可能性は大きいです。
というのも、基本的な数学や計算の基本については、すでに理解されていることが多いからです。
また、学習機会を提供するタイミングは、早いに越したことはありません。この点には注意してください。あくまで一般論ですが、年齢を重ねるほどに頭脳の柔軟性は低下します。知識や経験が増えるほどに新しい知識を受け入れがたくなる傾向もあります。あるいは、一般に在籍期間が長くなるほど業務は増えますし、業務外でもご家庭の事情などで学習時間の確保そのものが難しくなるケースもあります。
必要なタイミングを逃さないようにする配慮も必要というわけです。
さて、肝心の数字力を伸ばすための対策ですが、ここでは以下のような方法をご提案します。
ご本人に数字が苦手であることを認めてもらう
多くの場合にご本人は、数字が苦手であることを自覚はしていますが、具体的な程度までは把握していない、突き詰めて向き合おうとしていない傾向があります。今回もこのようなケースと思われます。そこでまずは、弱点を受け入れ、その課題にどう向き合っていくかを一緒に考える機会を設けましょう。弱点を理解することは成長の第一歩です。
当社では無料・有料のテストをご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
学習できる、学習せざるを得ない環境を構築する
数字が苦手、克服の必要があると自覚できたとしても、そこで止まる可能性はやはり高いです。当然ですが、会社では仕事があります。日々の業務でスケジュールが埋まっていては、学習は後回しになります。プライベートを学習にあてる可能性も前提にすべきではありません。そもそも具体的に必要であるという自覚が伴わないので、結局は無視しがちです。このようなケースなどで数字力を測るために用いられるのが、昇進試験を設ける方法です。
御社では昇進試験を導入されていますか?
慣用的に「適性検査」と呼ばれるサービスで、リクルート社のNMATなど、多くの会社で利用されています。これらの試験は書店にも対策本が並んでおり、当社でも対策講座を提供しています。
対策本があるならば、その検査は意味がないとお思いでしょうか。
これらの試験で高得点を取るには、数について基礎から学習することが必須となっています。対策を通じて、数値に強くなる、特に、割合などの分野の計算力が向上することは間違いありません。また、昇進試験用として提供されている試験は、ビジネスに必要な力を測るものです。付け焼刃な対策はほぼできませんので、適性検査対策を通じて、ビジネス数字力を高めることができます。
なお、実際に運用するにあたっては、昇進に必要な計数力にあわせて、合格ラインを調整するなどの方法があります。また、面接や論文などでフォローすることも欠かせませんね。
数字力トレーニングを提供する
昇進試験を利用するほどの想定はしていない、導入への懸念や障害がある場合は、社内で数字力を上げるトレーニングを提供する方法もあります。試験とは異なり、業務にそれほど影響せず、余裕を持ったスパンと負荷で学習を進められる選択肢です。自社でコンテンツを用意する場合が難しいということもあると思います。その際は是非、当社のサービスもご検討ください。
当社のビジネス数字力向上プログラムは、数字に苦手意識を持つ社会人を対象に、徐々に実力を上げていくことができるように設計しています。本プログラムは、数字力のほか、資料の読み取り力や、論理力の向上も期待できるビジネスパーソン向けのカリキュラムとなっています。
ご提案は以上となります。
数字が苦手であることをご本人が分かっている場合でも、なかなか具体的な解決に舵を切れないケースは多々あります。要因もさまざまです。今回のように、基本的な能力が高く、より活躍できる機会が目の前にあるのに、数字に弱いばかりで展望が見えなくなっているとしたら、こんな不運は、ご本人にとっても、会社にとってもよくありません。より円滑で効率的な環境づくりのために、ぜひ、手を打ってあげることを検討してください。
昇格試験の検査対策で通っていらっしゃる受講者様の半数以上は、入塾当初の段階で「割合」程度の単元でつまずいています。ですが、この単元の学習を通じて、割合の計算やそれに基づく指標などを理解して問題が解けるようになると、いろいろなデータをより自在に操れるようになり、数字が次第に怖いものではなくなっていきます。
最後に、できないことが明らかなとき、すべてを当人任せにしたり、そのままにしたりせず、成長できるように学習を支援することが建設的だという点を強調させていただきます。
なにとぞ、その方を応援してあげてください。